2月17日。今日から酒の仕込みが始まります。
只今、朝の5時30分。横田町は闇に包まれています
向こうに見えるのは高田町の朝焼け、東に海のある方角です。
…6時45分。川崎町道の駅です。朝日がようやくここまで昇って来ました…何か良い事ありそうです。

…そして、磐乃井酒造の朝は早い。
これは甑(こしき)と大釜。激しい蒸気が換気フードから溢れてます。この蒸気…普通ではありません

蒸し取りと蒸し(上)
初添に使う蒸し(ふかし)の量は少なめ、仕切布のまま持ち上げられる程度です。一般的な蒸し取りは、このように飯試(めしだめ)に入れて運びます。皆さん肩に乗せて運んでいますが、渡邊は台車を借りてガラゴロ運びます。
釜屋のお仕事(右)
甑の横に佇む彼は釜屋(かまや)さん、蒸米の責任者です。毎朝6時に大釜に火をいれ約2時間米を蒸します。これから蒸し取りの作業です。
…イメージでは専用の木製道具なんてありそうですが、ここではスコップを使って取り出します。

冷しとお手伝い
飯試で運ばれた蒸しは一斉
おぜんこと呼ばれる冷し
台に広げられます。
…ここで渡邊、恐る恐る
ようやく参加です。
まだへっぴり腰でしょうか、後姿が頼り無い。。。

温度調整
おぜんこの上、一面に広げられた蒸かしは外気を利用してある程度温度を下げます。ちなみに只今-2℃。 斑なく温度が下がり始めたところで、橋本杜氏が温度計を使って正確な温度を計ります。大体10〜15℃になるのを待ちます。
適温になったら麹室と酒母室の各々に運び込みます。

蒸しとお手伝い
これが初添えに使う蒸し米。本日は仕込の都合上、磐乃井専用の酒米ですが、明日には酒屋の米が登場します。
…渡邊さん、どうですか。楽しいですか?
蒸しはとても熱いそうですが、不思議と手に付かず、通常食べる御飯でもなく非常にサラサラした御飯だそうです。でも、美味しそうです。

麹室と麹屋
これが麹室。
この重厚な扉の向こうは女人禁制…ですが渡邊、潜入しました。しかも初めて女性の入室を許可していただきました!お邪魔します。
…おや?誰でしょうか。先程の蒸し(ふかし)を持って麹室に入って行きました。…彼は麹屋(こうじや)と呼ばれる麹づくりの責任者なのだそうです。

酒母室と桶(おけ)
これが今回の仕込みに使う桶です。高さは1M程度の小さいものです。中から飛び出している棒が櫂棒(かいぼう)といって桶の中をむらなく混ぜる道具です。見た目より結構重いです。余談ですが、この桶一つで一升瓶200本できるそうです。
…そして、ここが酒母室。ここですべての材料が仕込まれます。

麹室と麹つくり
ここ麹室は、右に床(とこ)と呼ばれる作業台、左に麹蓋(こうじぶた)の重なる台があります。
橋本杜氏が蒸しを床に広げる傍ら、麹屋さんは何やら 支度中…空缶に麹菌を入れていました。
麹は日本酒用の黄こうじと言い、黄色のサラサラ粉末 でした。
缶はクッキー缶のようで、底に細かく穴が開いていました。不思議と缶に年期を感じました。
…そして、本日の蒸しの一部を、ここ麹室で使います。
 

初添え仕込みと原材料
まずは桶に水と麹を加えます。水は予め乳酸瓶に入れてあります。個人的イメージで、水は井戸から桶に汲んで運び込むという勝手な妄想がありましたが…ここは現代日本、もちろん水の出口は蛇口です。
そして着布(きせぬの)に包まれた本日分の麹です。この麹は前々日から左(麹つくり)の工程を経て用意されたものです。
桶の中を覘くと、既に酒母が入っていました。この酒母、少量ですが一ヶ月前に水・麹・蒸米を入れて作られたものです。何かと事前準備が多いのが特徴ですね。

床作業と種付け
蒸しは麹室に運ばれると、すぐ床に広げられます。
橋本杜氏と麹屋さんは、毎朝ここで約2時間を過ごします。この密室に、今日は渡邊一花を添えます。
…麹菌を蒸しの上にふりかけます。床幅が広いので、
このように向い合せで交互にふりかけます。
ちなみにこの部屋、酒蔵の心臓なので手出しは無用。 カメラマン渡邊は撮影・インタビューに徹します。

蒸米と頭(かしら)兼もと屋の温度管理
蒸米の温度が15℃近くになったところで、先程仕込んだ 酒母・水・麹の入っている樽に加えます。
ちなみにこの蒸しは磐乃井酒造の酒米です。酒屋の米はまだ登場していません。

…斑なく混ぜて温度と分量を計ります、この時点で9.4℃。 ちなみに、この作業を管理するのが酒母室責任者のもと屋であり頭の小野寺さん。

温度管理と切り返し
種付け後、
温度を計ります。全体の温度が均一で室温程度になった時点で奥の蒸し山に纏めていきます。
この間の温度調整には、天井にある小換気口の開閉や、渡邊の足元にある温風ヒーターを使います。
…それから温度を下げないように布団を幾重にも着せかけます。朝の作業はここまで。夜7時頃に再びこの山を崩し空気の流通を良くする作業、切り返しがあります。

初添え仕込み終了
蒸米を潰さないように櫂棒で混ぜます。先程と違い櫂棒を介して手元に若干の重みを感じます。
暫く混ぜると蒸米はパラパラ離れてしまいました。
この櫂入れ、日に1〜2回行うだけでいいそうです。
そんなにグルグル混ぜなくてもいいものなんですね。
…混ぜ終わるとこんな感じです。
まだ表面はうんとも
すんとも言いません。本日酒母室での作業はここまで

酒屋の酒蔵

花泉の磐乃井酒造

仕込み(仲添え)

仕込み(留添え)

仕込み(12日目)

仕込み(雑 学)

種付けを終えた蒸米
何の変化もなく美味しそうですが1晩経つと変化するのだそうです…。

本日の仕込みはここまで。あとは一休憩してから片付けまでお手伝いして終了しました。その様子は、後程『仕込み(雑学)』で御紹介します。お楽しみに。

contents